裏磐梯野鳥の森探勝路

12月3日、ビジターセンター正午の天気晴れ、気温8.5℃という状況のもと、裏磐梯野鳥の森探勝路を情報収集のため歩いてきました。
歩き始めは気温-2℃で、積雪はコース全体に30~50cmありました。

↓ まず桧原湖南端から、今回のコースの方向を見てみました。

左端の峰が八森山(標高1150m ;その右後奥は高曽根山1443m)で、その北東稜から南に延びるゆるやかな尾根(写真右端)を登り、稜線を少し進むと眺望抜群の野鳥の森展望台があり、今回の目的地です。

さて細野口まで車で行ったところ、駐車場は除雪されていませんでした。近くに駐車スペースを見つけてから歩き始めました。(↓)

すぐ木道で、積雪は40cmほどでした。

↓ さっそく、いろいろな動物の足跡が縦横無尽についていました。

↓ まずはノウサギです。

↓ 次は、ニホンリスです。

↓ 次は、ネズミの仲間のようです。

小さな左右の足跡の間に、肉質のしっぽの跡がついています。

木道主体の湿原の道を1.2km進むと、山に入ります。旧観察小屋を過ぎると、沢沿いの道になります。

↓ 今度は大きな動物の足跡が並行して続いています。

↓ 右側のものは、偶蹄類の足跡、ニホンカモシカです。

↓ 左側のものは、ツキノワグマのようです。

沢沿いの道は、見通しが悪く動物と至近距離で鉢合わせということもありますので、コースを外れて、見通しの良い尾根筋を直登しました。(↓)

やや細い、ブナ主体の森です。枯れ葉がまだついている木もかなりあり、空の青と枯れ葉色のコントラストがきれいでした。

↓ 「馬の背」の下からの眺め

ここはまだ野鳥の森展望台ではありません。「馬の背」ベンチのすぐ下の標高953.4mのコブ尾根です。ここも見事な展望台になり得ます。しかも旧「観察小屋」からわずか500mのところです。

↓ 安達太良連峰もきれいに望めます。

さて、「馬の背」から、「つげの台」、「ブナ林」、桧原への分岐と、350~400mごとのベンチを過ぎると、標高1098mの野鳥の森展望台に着きます。(↓)

見事な景観です。特に裏磐梯スキー場(山頂から左下に延びる白いゲレンデの部分)の左(東側)に広がる山裾のアカマツの緑一色が見事です。遠藤現夢や白井徳次らの植林の努力が成果となっているのです。
また、裏磐梯スキー場は明治の爆発による岩なだれの本流が山麓を削った谷のスロープを利用したものですが、その岩なだれの本流は、桧原湖東岸、中瀬沼方面に流れました。岩なだれによりできた流れ山地形が、桧原湖東岸(この写真で左側)で特に起伏が激しいのが、ここからよく分かります。

さて、しばしの休憩の後、来た道を引き返します。この日は、天気もよく、自分以外の人の足跡は見当たりませんでしたので、これが帰路の目じるしになります。天気が悪い時や他に人のトレースがある時は注意が必要です。詳しい等高線の入った地図やコンパスはやはり必携です。

↓ なぞ(?)の雪面の乱れ

さて、往路で避けた谷筋の道を復路で通ったところ、探勝路を含む20平方メートルほどの雪面が激しく乱れていました。そしてあたりには足跡がたくさん残っていました。(↓)

ツキノワグマの足跡でした。後肢長16cm、幅12cmほどで、中型犬ほどの大きさのようです。雪を掘り返したのは、エサさがしでしょうか、冬籠り穴掘りでしょうか。

(ツキノワグマは、ヒグマとは違い、土穴はあまり掘らず、木や岩の洞などを利用すると言われています。)

↓ ツキノワグマが滑りながら降りてきた跡

今回のように、クマの存在を近くに感じるような時は、クマにストレスを与えないようにしつつ、静かに、足早に過ぎるようにします。でもそのような所には近づかないのが一番ですが。

さて、無事に山を下り湿原に来ました。木道を歩いていると、突然足元からヤマドリの雄が飛び立ちました。写真は間に合いませんでしたが、次にまた同じ場所から雌も飛び立ちました。こちらは撮影できました。(↓)

幅2mほどある木道の下の空間に潜んでいたようです。木道の周りには動物の足跡が多いと感じましたが、他の動物たちもこのように利用しているのでしょうか。

積雪地での自然観察は、足跡により、多くの動物の存在をかいま見る絶好の機会となります。ただ今回のコースは、雪深い山岳地帯で、一般にお薦めできるものではありません。実際、積雪数十cmのコースは、雪質にもよりますが、スノーシューを履いても20~30cmは沈み、大変体力を消耗し、難儀しました。レンゲ・中瀬沼探勝路や五色沼自然探勝路などの平地がお薦めです。

また冬場は、どこであっても単独行はさけ、何人かで歩いてください。装備としては、まず足ごしらえですが、防水性の登山靴かトレッキングシューズ+ロングスパッツにスノーシューが一番です。また、防寒・防風・防水に適した衣類を上手に重ね、水分・食料等をしっかり持ち、またクマ鈴や方位磁石、地形図等を持って歩いてください。

◇ターサン◇

※こちらの自然情報はPDFファイルでもご覧になれます。
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※裏磐梯はツキノワグマの生息域です。散策の際には、クマ鈴などでクマに人間の存在を知らせてあげてください。
また、近年、イノシシも裏磐梯に生息し始めました。十分注意しましょう。
どちらも目撃したら、ビジターセンターにお知らせください。(電話:0241-32-2850)

※スノーシュー、長靴、双眼鏡、クマ鈴をレンタルしています。料金等の詳細はお問い合わせください。