五色沼自然探勝路

先日2月26日に「五色沼自然探勝路」を歩いてきました。

五色沼は、青色から緑色の美しい色を呈する池沼からなる湖沼群の総称です。
五色沼が美しい色に見えるのは、水中に存在する微粒子による光の散乱が要因のひとつと考えられています。
この微粒子はケイ酸アルミニウム系の火山性粘土鉱物です:かつては「アロフェン」とされていましたが、現在では「イモゴライト類似の鉱物」であると推測されています(高貝,2016)。

出発準備
裏磐梯ビジターセンター午前9時ごろの天気は曇り、気温は-3.0℃でした。
防雪・防寒対策を行うようにしましょう(スノーシュー、レインウェア、防寒着、帽子、手袋などの装着)。
可能なら、温かい飲み物や行動食なども準備しましょう。

五色沼自然探勝路の道のり
今回は、裏磐梯物産館から「毘沙門沼」を目指して歩きました。
五色沼自然探勝路の道程は、裏磐梯ビジターセンターのホームページもご参照ください。[裏磐梯ビジターセンター 五色沼自然探勝路]
今回は「柳沼」→「青沼」→「瑠璃沼」→「弁天沼」→「竜沼」→「みどろ沼」→「赤沼」→「毘沙門沼」の順に巡ってきました。

行きは路線バスを利用して、裏磐梯物産館まで移動しました。
裏磐梯ビジターセンター最寄りの「五色沼入口」で乗車し、「裏磐梯高原駅」で下車です(片道¥250)。
運行状況や時刻表は、磐梯東都バスさんのホームページをご覧ください。[磐梯東都バスホームページ]



裏磐梯物産館前
ここからスタートしました。
雪に埋もれていますが、階段がありますので降りていきました。
目印は紅白のポールや竹竿、少し見えている手すりなどです。


柳沼
まずは柳沼が見えてきました。
他の池沼と水系が異なり中性を示し、一般的な水の色です。


青沼
沼を覆っていた氷の半分が融け、美しい青色の沼が姿を見せていました。


瑠璃沼

こちらも美しい青色を呈していました。
沼の向こうには磐梯山が見えており、素敵な眺望でした。


弁天沼
弁天沼は、五色沼湖沼群のなかで、毘沙門沼に次いで大きな沼です。
こちらはすっかり雪に覆われて、湖面は真っ白になっていました。


竜沼
竜沼は、探勝路から少し離れた場所に位置しています。
そのため、夏季には草木に隠れて見ることが出来ません。
冬季にしか見ることが出来ないため、幻の沼とも呼ばれています。


みどろ沼
先の青い沼と異なり、こちらは緑色が美しい沼です。
また、手前は緑、真ん中は赤、奥は青、と沼の中でも色が異なります。


赤沼
こちらもみどろ沼と同様に、綺麗な緑色を呈する沼です。
岸辺には酸化鉄が沈着しているため、沼のフチが赤く彩られていますね。



毘沙門沼
五色沼湖沼群のなかで、最も大きい沼です。
展望台から一望する雄大な景色は、まさに絶景です。
裏磐梯ビジターセンターから最も近い場所にある沼でもあります。

スノートレッキングに伴う危険
雪の中を歩くことは、楽しくて気持ちが良いものですが、危険もあります。
特に最近は暖かい日が多くなったため、「踏み抜き」が起きやすい状態になっています。


踏み抜いた穴
探勝路沿いには、いくつか雪を踏み抜いた跡がありました。
このように踏み抜いてしまうこと、あるいは踏み抜いた穴に落ちないよう、十分注意しましょう。

生き物たちの様子
最後に、今回の散策で見つけた生き物たちを紹介します。
春が近づいて、生き物たちが動き始めたようです。


フキ(キク科)
雪が融けているところには、フキの花茎が頭を出していました。
春の山菜として天ぷらやふき味噌にして楽しまれている「ふきのとう」です。
<!>五色沼での動植物の採取は法律で禁じられています<!>


ホオノキ(モクレン科)
ひときわ大きな冬芽がありました。
冬芽も大きいですが、葉っぱも花も大きいホオノキです。


カルガモとマガモ(カモ科)
沼をカモたちが優雅に泳いでいました。
写真に映っているほとんどがカルガモですが、右奥にはマガモが泳いでいます。


クモガタガガンボ属の一種(ヒメガガンボ科)
探勝路沿いの雪のうえを歩いていました。
広い意味でハエの仲間ですが、翅はありません。
雪や地面のうえを歩き、配偶相手や産卵場所を探しています(写真はメス)。

***
裏磐梯の「雪・湖沼・磐梯山」が織りなす自然の絶景が見られるのは、冬のシーズンだけです。
春の足音が聞こえ始め、この絶景が見られる機会は、今シーズンも残りわずかとなりました。
今シーズン最後のチャンスに、スノートレッキングを体験してみてはいかがでしょうか。

◇おおひら◇

裏磐梯ビジターセンターでは、長靴、スノーシュー、双眼鏡などをレンタルしています。
予約はできませんので、当日ビジターセンターまでお越しください。[レンタル料金等の詳細]

<引用文献>
高貝慶隆. (2016). 裏磐梯五色沼湖沼群の青色色彩とナノコロイド粒子との関わり. 「裏磐梯・猪苗代地域の環境学(塘 忠顕編)」. pp. 63-77.