2016年7月26日小野川不動滝・小野川湖畔探勝路
7月26日、小野川不動滝と小野川湖畔探勝路を歩いてきました。
天候は、始めは雨、ビジターセンター正午の外気温は21.5℃でした。
歩き始めたら雨はほぼ止みましたが、いつまた降るか分からないので、レインスーツは着っぱなしでした。内側から蒸れることなく汗を逃がしてくれるので、雨具を着たままでも快適です。道は濡れており、所々の木道も滑りやすく、分厚く積もっている落ち葉の層もじつはぬかるみ、というところもあります。防水性のトレッキングシューズや登山靴が好ましいです。特に靴底は固いゴム底が一番安心です。ウレタン系では滑ってしまう所があります。
またこのコース、特に小野川湖畔のコースは、人と会うことも稀で、他の人の力を借りることは期待できません。それにサルの群れやクマの出没も予想されるで、山歩きの服装の他予備食料、飲料水、救急用具、クマ鈴など個人としての装備は完全を期す必要があります。
さて、まず小野川不動滝への道ですが、ミズナラが主体の森の中を進みます。
ブナが見当たらないのは、過去に伐採があったことを示しています。(↓)
140段の階段道になるとスギが多くなり、林床は暗く、下草も少なめになります。
こちらも伐採後の二次林のようです。(↓)
20分ほどで、不動滝につきます。
美しい滝です。この滝、はたして高さ何メートル?
滝壺までの推定距離と滝頂までの仰角を測定し、三角関数で計算したら、24メートルとでました。
森の中で目に安らぎを与えてくれるのは、夏の花々です。
エゾアジサイ(↓)
トリアシショウマ(↓)
ヨツバヒヨドリ(↓)
キンミズヒキ(↓)
さて、不動滝探勝路を終えると、すぐ近くから小野川湖畔探勝路が始まります。
距離約6kmと、なかなかの長丁場です。ただ、始めは若干のアップダウンがありますが、その後はほとんど平坦です。標高820~830mラインの等高線をそのまま歩く感覚です。湖水面から30~40m高い所を歩くわけですが、森が深いため、ほとんど湖の眺望はききません。
ひたすら、昔の街道を、歴史を偲んで歩くような感覚です。とても静かです。
時々、小さな沢を何本か渡りますが、ウワバミソウ(ミズナのこと)、シダなどの大群落に出会います。自然のたたずまいに圧倒されます。
ウワバミソウの大群落(↓)
途中、わずかに湖が見えました。秋元湖岸にある小野川発電所の取水口が見えました。(↓)
道々には、不動滝付近と同じ夏の花がちらほら咲いていますが、鳥の声は意外に少なく、静寂が支配しております。クマと出会いたくないので、クマ鈴だけでなく、一人朗々と歌を唄い、詩を吟じながら歩くこともありました。誰とも会わないので安心して大きな声を出せます。これもこのコースの楽しみでした。
途中、ヤマナメクジの交接の様子に出会いました。 しかも二度も!
ヤマナメクジは雌雄同体で、互いに薄青白い陰茎を出し合い、相手に精子を与えて受精するのだそうです。生命の神秘!(↓)
長く静かな楽しい道も終盤、山の木が皆伐されたところが見えてくると間もなくゴールの曽原口です。森の豊かさを味わって歩いただけに、この光景はちょっと残念です。(↓)
このコース、自然観察路としてはいささか単調ですが、平坦で歩きやすく、森の静かさ、豊かさを満喫できる点で、裏磐梯でも貴重なコースと言えましょう。
かのドイツの大作曲家ブラームスは、弟子のフローレンス・メイに「(ピアノが)どうしたら早く上達できるの?」と尋ねられた時、「とにかく森を歩いてみることだね。」と即座に、しかもいたって真面目に答えたという。森のもつ調和、森厳さ、清々しさが、芸術家に有意義な霊感を与える、ということでしょうか。含蓄ある深い言葉です。
このコースは、裏磐梯きっての、哲学の路、思索の路と言ってよいと思います。
皆さんも時にはこのような道を歩いてみてはいかがでしょうか。但し、繰り返しますが、しっかりした装備をさりげなく準備しての話しです。
◇ターサン◇
※こちらの自然情報はPDFファイルでもご覧になれます。ダウンロードはこちら。
※裏磐梯はツキノワグマの生息域です。散策の際には、クマ鈴などでクマに人間の存在を知らせてあげてください。
また、近年、イノシシやサルも裏磐梯に生息し始めました。十分注意しましょう。
どちらも目撃したら、当センターにお知らせください。(電話:0241-32-2850)