小野川湖畔・不動滝探勝路

11月22日、パークボランティア、アクティブ・レンジャーの皆さんと3人で、小野川不動滝、小野川湖畔探勝路を歩いてきました。

ビジターセンター正午の天気は曇り、気温6.5℃という状況でした。ただ前日夜~当日朝は快晴で桧原での
最低気温-10.8℃、ー5℃以下が11時間続いた後の巡視となりました。積雪はコース全体に10~25cmありました。

この両コースは、地形等高線に水平の、ほぼ平坦な道が多く見られますが、これらは大正年間に開発され
昭和の前半まで使用された森林軌道のトロッコ道だったところです。ブナ主体の広葉樹を伐採して、薪炭や鉄道枕木などに利用していたといいます。社会の変化を感じさせます。

↓ まず不動滝への入口は、午前10時の気温は0℃、積雪15cmでした。

↓ クビナガリュウに似た樹木とミズナラの林

↓ 不動滝

高さ約25m、西大巓よりの溶岩流の末端付近の急崖を落下してできた滝です。

↓ 滝の周りの氷

大きなつららがもう下がっていました。まだブルーアイスといえる状況までには
なっていません。

↓ タヌキと思われる足跡の近くにあったフン

固形物をつぶしてみたら、ヤマブドウ。ほとんど消化されていませんでした。

次に水道施設から下に降りて、小野川湖畔探勝路の東入口です。
このコースは、簗部山南部の小野川湖畔沿いを進む行程約6kmのほぼ平坦の長丁場です。
現在、人工物はトロッコ軌道の石積み以外はほとんど見えず、多くの野生動物の気配が
感じられる世界となっています。

↓ 最初の丸木橋

たいていの丸木橋は、丸木2本を横に並べて固定したもので、間に隙間があります。
隙間に靴がはまらないよう、つま先を大きく外に広げて慎重に渡ります。

さて、ここから先が、野生動物ワンダーランドです。

↓ まずは、偶蹄類の足跡。副蹄がついてないのでニホンカモシカのようです。

↓ 歩いて40分ほどで視界が広がる南東~南方面の様子

秋元湖南岸に聳える白布山方面(遠方)とレークライン方面の山です。

↓ 探勝路(旧トロッコ道)の様子

コースの東半分はやや雪が深く、積雪が20cm前後あり、斜面から多くのスノーボールや
スノーロールが転がっていました。

↓ 木の枝越しに見える磐梯山の姿

グリーンシーズンは葉が繁るため見えなくなります。

↓ 多くの動物たちの足跡群

このコースの西側半分は、特に動物の足跡が多く、雪も少なめです。サル、カモシカ、クマ、キツネ、タヌキ、テン、ウサギなど多くの動物の足跡が見られます。しかもこれらは、コースに沿って歩いているものが多く、
動物たちの「生活道路」となっているようです。
コース全体での中~大型動物の足跡は、サル>カモシカ>クマの順で、サルとカモシカは、姿も見ることが
できました。

↓ 最大の足跡 後ろ足の横幅が12cmほどあります。

若いツキノワグマの後肢です。残念ながら数日たったのもで、あまり新鮮ではありませんでした。

↓ 小野川湖の水面と高いところのクマ棚

道の後半には、クマ棚がかなり見られました。
落葉するための離層がのびる前のグリーンシーズンに折られた枝の集積で、こうした葉は枯れた後も落葉しません。「あれ、何故あそこだけ枯れ葉が付いているの?」と疑問を持って歩くと見つけやすくなります。

↓ 闘争の跡(?)

キツネの足跡の周りの雪上に、動物の血液がかなりついていました。キツネ以外の足跡はなかったので
絶命したものを運んできたのでしょうか?

↓ ツルウメモドキの実

モノトーンの世界でしたが、最後の曽原口を出たら、ツルウメモドキが他の樹木に絡まって、鮮やかに存在をアピールしていました。

多くの動物が生息しているこのコースにサラッと雪が降った後に歩くと言うことは、雪上の足跡によって、
それらの動物たちの存在や生態をかいま見れる絶好の機会ということです。
ただ、単独行はさけ、何人かで歩くと安全でとても有意義な体験となります。

20cm程度の新雪はラッセルを意識せずとも歩けますが、やや雪の抵抗があり疲れが少し早く出ます。また、足ごしらえは、今回では長靴が一番良かったです。防水性の登山靴かトレッキングシューズ+ロングスパッツという選択肢もありますが、雪の下はぬかるみの部分がまだあり、靴が少しもったいないです。

防寒・防風・防水に適した衣類を上手に重ね、水分・食料等をしっかり持ち、またクマ鈴や方位磁石、地形図等を持ってこのコースを楽しんでください。

◇ターサン◇

※こちらの自然情報はPDFファイルでもご覧になれます。
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※裏磐梯はツキノワグマの生息域です。散策の際には、クマ鈴などでクマに人間の存在を知らせてあげてください。
また、近年、イノシシも裏磐梯に生息し始めました。十分注意しましょう。
どちらも目撃したら、ビジターセンターにお知らせください。(電話:0241-32-2850)

※長靴、双眼鏡、クマ鈴をレンタルしています。料金等の詳細はお問い合わせください。